きっかけは飲み会
オイラがタイに一人旅するきっかになったのは、近所のオジサン達と作ったランニング同行会の飲み会でのこと。
「一度は海外のマラソン大会に出てみたいよねぇ、ホノルルとか、ボストンとか、出てみたいよね。」
「そう言えばMさんは、仕事でしょっちゅうタイに行っているよね。タイにもマラソン大会ってあるの?」
「あるよ。タイのパタヤって所で仕事しているんだけど、パタヤマラソンって国際大会があるよ。」
「いいね、いいね!今度、同好会のみんなで行くからさぁ、案内してよ。」
「オッケー、パタヤマラソンは7月だから、みんなも今から夏休みの予定入れておいてよ!」
帰宅後に奥さんに、「今度、ランニング同好会で、タイのマラソンに出ようってことになったんだけど、行っていい?」
ダメモトで聞いたところ、みんなが行くなら仕方ないねと、条件付き承認が出た。
ランニング同行会の他のメンバーは、それぞれの事情で行けなかったけど、一度火が付いたオイラの気持ちは戻せなくて、奥さんにひたすら頼み込み、一人でタイへ行くことにした。
2011年の初夏。
まだ東日本大震災の余震が続き、夏の電力事情が社会問題だった頃、なんとも能天気な決心をしたものです。
成田空港の搭乗カウンター
空港のチェックインカウンターで、ネット予約で発行されたeチケット(自分で印刷した紙)とパスポートをカウンターに出すと、対応してくれたJALのオネーチャンから、ネット決済したクレジットカードの提示を求められた・・・、けど持って来てない!
オイラは、ネット決済は専用のクレジットカードを使っていて、そのカードは持ち歩いていない。まして海外へ持ってくつもりもない。
「持っていないんですけど・・・」と伝えると、JALのオネーチャンは、電話でいろいろ確認してくれて、結果、クレジットカードの番号が確認できればOKということに。
すぐさま自宅にいる奥さんに電話。クレジットカード番号を聞き、なんとかセーフ。無事搭乗できた。
ホッ。
スワンナプーム国際空港に到着
プーケット経由でバンコクのスワンナプーム国際空港に到着。
さっさと荷物をピックアップして、友人のMさんとの待ち合わせ場所にいかなきゃ、と思ったけど、いつまでたってもオイラのキャリーバックだけターンテーブルに流れてこない。
掲示されている航空便の表示も合っている。このテーブルで間違いない。
近くにいた警備員にたずねると、差し出した航空券を見ながら、なにやらトランシーバーで話しをしている。そして無愛想に連れて行かれた別のターンテーブルに、オイラのキャリーバックだけが寂しく回っていた。
でもそこは、プーケットからの途中搭乗者用のターンテーブル・・・、だと思う。
メチャあせった。自分のキャリーケースが見えた時は、マジで泣きそうになった。
待ち合せ時間に少し遅れたけど、Mさんとの待ち合わせ場所に到着。
予定ではMさんが会社の車で迎えに来ているはずが、いない。
気を落ち着かせて、それまで切っていた携帯電話の電源を入れると、Mさんからの着信履歴が数件。
イヤな予感がよぎったが、電話をすると、予感は的中。仕事で行けなくなったのでタクシーで来てくれとのこと。
海外旅行の経験値が低いオジサンに、急に一人でタクシーに乗って来いって、かなりの難易度だと思う。
けどキャリーケースの件もあって、この時のオイラは、さほど動揺していなかった。
パタヤに来ちゃった
スワンナプーム国際空港からパタヤ市内まで、タクシーで約1時間半。そのほとんどが高速道路。
妙に明るい運転手のニーチャンが、英語で話しかけてくるけど、片言しか英語が話せないオイラとはなかなか会話が続かない。時々ビミョーな空気がタクシーの中に流れる。
高速道路を降りて市街地に入ると、だんだんネオンの数が多くなってくる。そしてタクシーは目的地のホテルに到着。
いろいろあったけど、ついにパタヤにきちゃったぜっ!
禁酒日の夜の出来事
タイには年に何日か禁酒日がある。タイ滞在の二日目と三日目は、この禁酒日に当たってしまった。まぁ事前に分かっていたけど。
禁酒日は、正確にはお酒を売ってはいけない日らしい。外国人へも同様。レストランではビールのオーダーも受けてくれない。表向きは。
ホテル近くのレストランでは、Mさんが交渉すると、陶器のカップにビールを注ぎ替えて出してくれた。ジョッキやグラスでは、さすがにアカラサマで無理なのだろう。
ナイトスポットのお店も、禁酒日は基本的に休業。それでもどこか開いてないかと、夕食後にパタヤ最大の繁華街のウォーキングストリートへ行ってみた。けど、案の定どこも開いて無くて閑散としていた。
仕方なくホテルに向かって歩いていると、大柄のオネーチャン二人組に声をかけられる。
近くに来るとやはりLB(レディボーイ)だ。ニタニタしながら、やたらボディタッチしてくる。
LBには興味がないので適当にあしらった後、ズボンのポケットに入れていた携帯電話がないことに気が付く。LB達の姿も見当たらない。
やられてしまった。
パタヤマラソン
フルマラソンは、朝の4時30分スタート、オイラとMさんがエントリーしたハーフマラソンは5時スタート。
折角なので、フルマラソンのスタートも見ようと、3時に起きて少々早くホテルを出発。徒歩でスタート地点のセントラルフェスティバルへ行く。
フルマラソンの参加ランナーは、2,000~3,000人ってところ。
当たり前だけど、多くはタイ人とおぼしき人。外国からの参加も多いようで、3分の1くらいは外国人かも。日本人も多数。
この時の大会はアジア選手権も兼ねていて、テレビでよく見る日本代表のユニフォームを着た選手もいたし、アフリカからの招待選手もいた。
受付同様、スタート前の運営もグダグダだ。
驚いたのが、スタートラインに並んでいる選手を、どう見ても一般人がコース内に入り込んで写真を撮っている。あれはない。
まだ暗い中をハーフマラソンがスタート。
スタート直後は、応援が沿道にいたけど、500mも走るといなくなる。そりゃ早朝だしね。
セントラルフェスティバル前のスタート地点から、ビーチロードを北上。ビーチロードが終わるとロータリーを右折して内陸方面へ。
やがて、パタヤの大動脈スクンビット通りとの交差点にぶつかる。
スクンビット通りを走り始めた頃から、徐々に夜が明けてくる。
明るくなって周囲の景色が見えてくると、やっぱ海外の街を走っているぞって実感がわいてくる。テンションも上がる。
第2給水所で水分補給。まだこの頃はタイでの給水に少々抵抗があったけど、まぁいいかぁと飲む。
ハーフマラソン中間地点付近でスクンビット通りを折り返す。
ここで腕輪(シリコンバンド)をもらう。どうらや中間地点まで来た証拠らしい。
折り返しを過ぎて少し走った交差点を左折、スクンビット通りを離れ脇道へ。
畑や空き地の脇を通り、アパートやローカルの商店が並ぶ中を走る。こんな所、旅行会社のツアーで来ていたら絶対に通らない。
やがてジョムティエンビーチに突き当たり右折。ビーチ沿いを北上する。海からの風が気持ちいい。
ジョムティエンビーチロードが終わると、ここからサウスパタヤの丘を越えるための長い上り坂。
もう15Km以上走って日差しも十分強くなった中で、この長い上り坂は、ツライ。
最後の難所の高低差がある陸橋を渡ると、ウォーキングストリートの南端に到達する。
ネオンが消えているウォーキングストリートを抜け、ビーチロードへ。
そしてゴール。
帰国
夜8時。
前日に予約しておいたタクシーに乗り、Mさん、そしてパタヤの街に別れを告げる。
特に渋滞に巻き込まれることなく、1時間半でスワンナプーム空港に到着。遅い時間だからなのか、チェックインも出国審査もがらがらでスムーズに抜けた。
搭乗時間まで1時間以上ある。いい機会なので、スワンナプーム空港を散策することにした。
それにしてもスワンナプーム空港は広い。一通り廻るとそれなりに疲れた。
帰国便は、深夜発の直行便。熟睡だった。
帰国当日は自宅で休養。
翌日から仕事に復帰するも集中力が続かない。帰国三日目には微熱も出て、週末は寝込んでしまった。自覚していた以上に疲れていたようだ。
勘違いしそうになったけど、やはり普通のオジサンなのだと再認識。気持ちに身体が追い付いていなかった。
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